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仕立てについて

手裁断と機械裁断

手裁断と機械裁断

今回は手裁断と機械裁断の違いを中心にご紹介。

現在の縫製工場の主流は機械式裁断機を使用したものだ。

機械裁断(CADシステム)

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パソコンでデーター上で型紙を作りそれを打ち込み、全自動式の機械で生地を裁断する。

人間の手を介さないので裁断ミスなど発生しない。

しかし、柄合わせ(特にチェック)には、いまだに技術的問題がある。

生産性は向上する。

CADシステムといわれる

納期は早くなる。

 手裁断

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柄などは職人が合わせるので狂い合ない。

体形補正などの細かな対応が可能。

一人の職人が裁断できる着数は一日四着程度。

生産性は極めて悪い。

納期は遅くなる。

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(手裁断で合わせた、柄合わせ)

ポイント

・機械裁断は納期は早くなる。

・手裁断は納期は遅くなるが細やかな対応が可能である。

アイロンワークとイセ

アイロンワークとイセ

「アイロンワーク」と「イセ」という言葉はスーツを語る上でよく出る言葉だがあまり正確には理解されていない。

今回は「アイロンワーク」と「イセ」の紹介。

スポンジング(地直し)

実は生地は歪みが生じている。特にインポート生地は縫製に入る前に、その歪みを修正してからスーツは仕立ての工程に入らなくてはならない。

特に日本の夏は高温、多湿であるからこの工程を省くとジャケットの前身頃のぶくつき、捻じれの原因となる。

スポンジングは蒸気と熱を当て地を合わせる工程を指す。

スポンジング後、一週間ほどを生地を寝かせる必要がある。

現在では、納期短縮、接着芯の使用を理由に、この工程を省く場合が多い。

 

アイロンワーク

ウール、カシミヤ、コットン、麻生地は伸縮性がある。

アイロンワークとは、その性質をさらに高めるためアイロンの蒸気、熱を利用する。

工程を流れる間に何度も、何度もこの工程を繰り返すことによって胸に立体感が生まれる。

この工程のなされていないジャケットを着た場合、腰の部分にだぼつきがでる。

しかし、アイロンワークの施されたジャケットは自然な腰のくびれを生む。

 

イセ

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イセは袖(アームホールと袖の接合部)、後ろ身頃(肩線と後ろ身頃の接合部)で多く用いられる。

アームホールに比べ稼働域の大きい袖側の接合部の生地を大きくとる。そうすると余りが出る。この余りを「イセ」という。

後ろ身頃も通常人間は背中の方が稼働域が大きい。

イセ処理はパターンオーダーでも施されいる。

しかし、マシーンで行うのでハンド行った場合より「イセ」が少ないので動きにくくなる。

フルオーダーとパターンオーダーの着心地はこの処理の違いにある。

上記の生地の性質を利用し、アイロンでイセを処理すると、波打った部分は消え、接合部は綺麗になる。

とくに袖山の上がった「ロープド」は、イセをハンドで処理しないと縫製は不可能である。

 

(イセをあえて残した「雨降らし袖」)

(より多くのイセが必要な「ロープド」)

ポイント

 

今日主流の袖山が盛り上がらない「ナチュラル」「割り袖」はブルックスブラザーズが当時、仕立て服から既製量産化で簡略化を図るためにとりいれたといわれている。

スーツは本来「ロープド」か「雨降らし袖」であった。

 

・イセの多い動きやすいスーツを選ぶなら「ロープド」!

・「ロープド」はハンドの証!

・あえてイセ処理の行わない「雨降らし袖」もナポリスタイルには最適

毛芯とは

毛芯とは

一般に「バス芯」、「総毛芯」の「スーツは高級」との認識がある。ここで知られているようで知られていない、毛芯について解説する。

毛芯の構造

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通常、台芯、肩芯、胸増芯、フェルトの四層構造になる。

夏用ジャケットはフェルトを抜いて三層のものを使う場合もある。

台芯は全体の前身頃のシルエットを支える。肩芯は肩から胸のシルエットを補強。胸増芯は胸の高さを出す。フェルトは胸増芯に同じく。

台芯は上質な物は通常、ウール(羊毛かキャメルヘアー)と麻の混毛のものが多い。安価なものは化繊のもある。

バス芯とは?

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胸増芯に馬の毛を使用したものを「バス芯=馬巣芯」と呼ぶ。

通常は馬の鬣をつなぎ合わせたものを使うが、馬の尻尾の一本毛を使用したものを「本バス芯」という。

馬の尻尾の毛は、鬣に比べハリがあり胸の高さを出すことができるので、上質な仕立てには不可欠な素材である。

 

 総毛芯と半毛芯

半毛芯は台芯が腰ポケットまで、総毛芯は裾まで入ったもの指す。

夏用に軽い仕立てを望むなら半毛芯にすることも多い。

一般に総毛芯は芯が増える分、暑くなるために冬物のスーツに多く用いる。

 

「毛芯仕立て」≠「上質な仕立て」

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一般に誤解されがちだが、総毛芯は上質なスーツの必要条件とみなれている。

毛芯というのはスーツを支える骨のようなものだ。

骨がしかっりしていればスーツというのは組み立てやすい。

アンコン仕立てなどの、毛芯を省くとそれだけシルエットを構成することは高度な仕立ての技術を要求される。

一枚仕立てというジャケットを除き、アンコン仕立てには胸増芯、肩芯(フェルトが入る場合もある)は使用する。

確かに総毛芯は同等の素材の半毛芯よりも高価である。

総毛芯=原価が高いという方程式が「高価なスーツの証」が総毛芯=上質な仕立てという誤解につながったと考えられる。

本来なら毛芯の選択はスーツ。

ジャケットをどのようなシルエット、着心地で着たいかの使用者側の立場に立って選択されるべきである。

 

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