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オーダースーツは古臭い?

 最近は、そこまでオーダースーツに対すイメージが古い、ダサいなどのイメージは若干、和らいでいるように感じますが、いまだにそうしたイメージをお持ちの方が多く見受けられます。
 
 どうして、そうしたイメージが付いたかと言いますと我々、この業界に携わる者が体に合わせること、縫製技術に執心し流行、デザイン性をないがしろにした結果だと考えています。
 
 オーダースーツといいますと前々からブログで申しているように着る人物の体に似合うスーツを作るべきなんですが体に合わせることだけを考えている仕立て屋が未だに多くいます。
 
 スーツというのは胸のラインが美しく見えるようにしなくてはなりません。特にイタリア調のスーツはここを重視します。
 
 胸に適度なふくらみがあり、腰の辺りでドレープ(シワ)がなくてはなりません。(アイロンワークを施してないスーツには出ません)
 
 日本人は総じて上胴(胸周り)と中胴(腰周り)の差寸がありません。
 
 それは筋肉のつき方にあります。
 
 日本人は背筋が発達しています。引く力が強く背中に筋肉がついています。
 
 西洋人は胸筋が発達しています。押す力が強く胸周りに筋肉が発達しています。
 
 もし、日本人の体にただ合わせたスーツを作ればどことなく貧相に見えます。男性的胸の逞しさは表現できません。きっとここが古臭さ、ダサいといわれるゆえんだと思います。
 
 Corvoでは胸のゆとりを大きくとるか腰のゆとりを減らすなどします。12センチの差寸がもっとも美しいと考えその差寸が出すように対処しています。
 
 また、仕立て屋、縫製工場を含めスーツの基本を知らないところが多すぎます。
 
 たとえば袖の第一釦は袖口から四センチはなれている、また腰の切れ込みはジャッケトの一番下の釦ホールと腰ポッケトを直線で結んだところから始まらなくてはならない、といったようなクラシコイタリアのスーツにはさまざまなルールがあります。
 
 クラシコイタリアのスーツとは長年の伝統と試行錯誤の上に普遍的な完成した形として生み出されたものです。デザインの基礎となるものを知らずして型は破れません。
 
 また、縫製の技術を競うあまり、シワのなさ、工程の多さに満足し全体の見た目のバランスをないがしろにした傾向があります。
 
 ナポリのサルトリアはシワをたいして気にしません。一歩、離れてみたときの全体のバランスを重視します。
 
 日本人は極端にシワを嫌います。その結果、生地の風合いを殺す接着芯を多用するようになります。そして、良質な生地を使いながら生地の持つ柔らかい風合いのない紙のようなスーツになるわけです。(ここは勝手ながら消費者の方たちにご理解していただきたいです。)
 
 イタリア人はシワをむしろ楽しみます。良質なイタリア生地はシワに適度な光の反射で美しい光沢が生まれることをよく知っています。
 
 徐々にではありますが日本のスーツ業界もだんだんと変わりつつあります。Corvoも含め消費者に受け入れられるものを生み出さなくてはなりませんね。
 

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