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裏地素材について

2019122620225.jpegスーツの上衣に設えられた裏地。

目に触れにくい部分にあるため軽視されがちですが、実は縁の下の力持ちなんです。

裏地の役割は、摩擦をなくし着脱しやすくしたり、動きやすくする効果とインナー等の透け防止の効果、表地の型崩れや摩耗を防止し長持ちさせる効果があります。

なかでも動きやすくする効果を補っている、裏地素材についてご紹介したいと思います。

裏地生地に用いられる素材は主に『ポリエステル』『キュプラ』『シルク』の3種類ですが、シルクが主流だったのは昔の話。

今はポリエステルとキュプラがよく使われています。

キュプラという素材は、再生セルロース繊維というカテゴリの化学繊維でコットンリンターという、綿花を採取した後の、本来繊維として使われない綿実の産毛部分を原料としています。

この原料を使い、銅アンモニア溶液で溶かし、ギヤーポンプで凝固液の中に押出し繊維にするという方法で作られたものをキュプラ、と呼びます。

風合いはレーヨンと似ていて、レーヨンは1884年に木材パルプと原料とした同じ製法で作られました。キュプラはその後に作られるようになったため正式には銅アンモニアレーヨンと言われます。

キュプラの一番の特徴は、静電気が起きにくいことで、他にはとにかく細い糸にすることが可能なため、シルクのようなドレープ感、光沢感、すべりの良さがあり、さらに絹よりも日焼けしにくく、耐熱性があります。

また、吸湿性、放湿性も良いので、衣服を最大限快適に着ることができます。

しかし、キュプラは水に弱く、水によるシミ、シワ、縮みが起こりやすいので洗濯に向かないというデメリットがあります。

強くこすったりすると毛羽立ちもしやすいです。

そのデメリットをおさえ、また価格も下げるためにポリエステルを混ぜて作られた生地もあり、発色においてはポリエステルのほうが良いことからデザイン性のある生地はポリエステル100%のものになります。

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ポリエステルのものを敬遠される方もいらっしゃいますが、糸への加工でキュプラに似せた性能を持たせることも可能になっていますから、選択肢は広がりますね。

裏地選びは私も楽しみな時間ですが、表地との色柄の組み合わせだけでなく着心地にもさらにこだわった、自分なりの一着を作ってみてはいかがでしょうか。

生地選びのポイント

生地を選ぶとき、目的やお手持ちの色柄、お好みなどを伺って決めていくことが多いのですが、普段スーツを着慣れない方はイメージや好みは持ちづらいもの。

ブランドもたくさんあって余計に迷ってしまう、という方も多いことでしょう。

 

お客様の中には、推しブランドがあり指名買いする方もいらっしゃいますが、たとえ私たち販売側であっても、自身に合うものは実際に作って着てみないと分からない、というところもあります。

ブランドごとに試行錯誤する、というのはどうしてもお金と時間がかかってしまうものです。

 

しかしたくさんあるブランド生地も産地に注目して見ると、ほとんどがイタリアかイギリスで作られており、それぞれの風土に合わせて生地にも特徴が表れています。

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イタリア生地はよく糸が細いものから作られるため、軽く、柔らかく、しなやかであって、イタリアンが彩り鮮やかなように目に楽しい色使いが多くあります。

仕立てると光沢が一層映え、華やかで艶やかな印象になり、いつも堅苦しく感じるスーツもストレスなく着用することができます。

糸が細い分、毛玉や、擦り切れやすくなってしまうこともあるため、間隔を多めに開けて着たり、皺ができたら霧吹きをかけて戻してあげるなどの手入れが必要となりますが、手間のかかる分、愛着も湧いてきます。

華美な柄でなくとも良いものであることがわかりやすく、色気とスマートなスタイルを与えてくれるので、パーティーや食事会、デートなどアピールする場にぴったりです。

お仕事では服装に関して比較的自由な職場の方におすすめしています。

 

ブランドでいうとロロピアーナ、ゼニア、バルベラ、カノニコなどが有名ですね。

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イギリスで作られた生地は糸が太く、重く、堅く、しっかりした生地が多いです。

デザインは曇り空ともいわれるくすんだグレーがかった色味が多く、オーソドックスな柄で武骨な印象を与えてくれます。

イタリア生地に比べるとツヤがありませんが、古きを大切にした街並みを思わせる重厚感のある雰囲気を好まれる方に人気です。

スーツにすると構築的でたくましいシルエットになります。

仕立ててすぐは堅い着心地なものの、だんだん体に馴染むようになり、デニムのように「育てる」という感覚で着用していただけます。

太い糸を使っていることで耐久性があり、独自の織り方のためにシワに強くなっていますから、普段使いができる生地です。

安定した強い印象になるため、「信用」「信頼」を必要とする職種の方におすすめしています。

 

ブランドでいうと、ハリソンオブエジンバラがこの特徴が色濃く出ています。

また、ドーメル(フランス)や、スキャバル(ベルギー)といったマーチャント(商社系の生地屋)にはイギリスの織元が多く、イギリスらしい定番から生地の特性を生かしつつ流行やデザイン性の優れたものもあるので飽きることもないでしょう。

 

ちなみにイタリア、イギリスの2つに日本を加えて三大毛織産地と言われます。

Corvoで日本産生地の取り扱いはないのですが、イギリス生地と似た風合いのようで、大手高級ブランドからも人気があります。

 

自分の好みがイタリア系なのか、イギリス系なのかがはっきりすると、生地選びもしやすくなるのではないでしょうか。

ネクタイは必要?

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クールビズが定着して、今では年の半分しかネクタイをしない。という方も多くなりました。

社会で(畏まった場以外で)のノーネクタイがこれだけ認められてくると、

そもそも、ネクタイをする意味ってあるの?

もしかして、要らないんじゃない?と疑問がわいてきます。

 

ネクタイの起源についても調べてみたのですが、全世界で広がりすぎたために

曖昧なものばかりで、はっきりとした説はありませんでした。

その中でも一番有力といわれるのは、17世紀にクロアチア兵がしていた、

恋人からお守りとして贈られたというスカーフがあり、それをフランスのルイ14世が

「クラバット」と呼びお洒落に取り入れるようになった、という逸話です。

フランス語でネクタイをクラバットといいますから、かなり信憑性がありそうですね。

そして瞬く間に世界に広がった「クラバット」はその後、服装の機能的な進化と共に

簡素化し、スカーフの形から、今のネクタイとなったようです。

 

お洒落として取り入れられたネクタイはなぜ世界に広がり、廃れず現在まで継承されたのでしょう。

私の推測ですが、男性社会において大変重要な地位や権力を示すための装飾品は、

日本での冠や兜のように、大抵顔の周りや胸より上の位置につけられていました。

貴金属より手軽で邪魔でなく、見る人の視界に入りやすく、防寒にも使える装飾品ということから、

安くて軽くて、手軽に楽しめるネクタイが広く受け入れられたのではないかと思います。

となれば現代、社会的地位を示す手段は増えましたし、暑苦しく邪魔でしかないネクタイは

廃れるしかないのでしょうか。

 

ただ一つ、ネクタイにしかできないことがあります。

それは印象操作です。

 

例えば、アメリカの大統領が演説を行ったとき、紺スーツに赤いネクタイでしたよね。

これが紺のネクタイ、またはノーネクタイに変わっていたらどうでしょうか。

わかりやすいアピールだとしても受ける印象は大きく違うはずです。

初めて会ったコワモテの上司がピンクのネクタイをしていたらどう感じますか?

無趣味そうに見えるあの人が、ドットに見せかけたゴルフボールのネクタイをしていたことに気づいたら、

なんて話しかけますか?

このように自分をよりプラスのイメージにすること、これはスーツとシャツだけではできないことです。

 

暑苦しい時期が過ぎてネクタイを締める日々に戻ったとき、めんどうだなぁと言われず、

イメージチェンジや自己アピール、コミュニケーションツールとして、

ネクタイが広まっていくといいなと思う今日この頃です。

憧れのオーダースーツ

歴史をすべて遡ってみれば、服というのはそもそも自分に合わせて仕立てるものでした。

 

それが文明も発展と共に、服の規格を作り、機械で作ったものを大量に売るようになり、オーダーの文化は

一部の人のものとなりました。

 

しかし今、様々な種類に分かれて発展したことにより、富裕層にしかできないと思っていたオーダースーツは、

どんな人にでも手が届くものとなりました。

 

ではオーダーの種類は何があるのか?ブランドによっても名前や認識に違いがありますが、 Corvoでの種類に

もう一つ加えた4種類についてご紹介していきます。

 

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①パターンオーダー

  早速Corvoでの取り扱いのない種類ですが、これはヌードの採寸を必要とせず、よって型紙の作成をしないことが

  他のオーダーと決定的に違うところです。

  Y体・A体・AB体などに分かれたブランド独自の既製の型紙を、CAMによって長さの微調整を行い、自動切り出し、

  機械縫いにて作ったもので、丈の詰め伸ばし(ブランドによっては胴回りも)が主な補正箇所となります。

  限定した部位の調整をするだけなので不格好なスーツになってしまう場合もあり、特殊な補正はできません。

  オーダーでは一番安価で、既製服に体型が合うが大きな丈の補正が必要な人や、

  既製の型でデザインを選びたい場合に向いています。

 

②イージーオーダー

  採寸をするようになるこの種類からCorvoはお取り扱いをしています。

  一般的にはパターンオーダーの進化系のような扱いで、採寸がない場合もあります。

  CAMの元となるデータを作ることができるCADで型紙の図面から調整をするため、補正の自由度が高く、

  肩のライン(なで肩・いかり肩)、出尻、平尻など一部の体型補正が可能となります。

  レーザーによる自動切り出し、機械縫い(工場によって自動化レベルは違う)で、

  標準くらいの体型の場合は、フィッテイングをしっかり行えば見た目にはフルオーダーに並ぶスーツが仕上がります。

 

③フルオーダー

  オーダーといえばこのフルオーダー。

  Corvoでも一番こだわっているラインであり、ブランドによってもそれぞれの特徴が存分に発揮されるラインです。

  ヌードの採寸を行い、手書きで顧客ごとに型紙を作成し、専門の職人による手裁断をするというのが

  『フルオーダー』の共通点でしょう。

  機械の制限にとらわれないので体型補正、デザインの自由度がかなり高くなり、体型が気になる場合や、

  ディテールにこだわりたい人にお勧めです。

  Corvoのこだわりは、縫いは手縫いと機械縫いを併用しており、動く箇所(曲線部)が手縫いとなっています。

  (袖付け、衿付け、ボタン付け、裏地付け、ゴージ、腰ポケット)

  袖付けは手縫い高級スーツの証であるロープドが選択可能で、また針穴の小さなボタンも手付けの証となります。

  直線部の縫製は機械縫いの方が綺麗なため、直線部やパンツは一人の職人が機械で縫い上げます。

  また、縫製段階で中間プレスを多用し立体的に仕上げます。

  職人による中間プレス(アイロンワーク)は生地は熱と蒸気を当てることで変形するという熱可塑性を利用し

  胸の高さ、袖の前振り、肩線、肩先のイセ量を確保し可動箇所にゆとりを確保することで、

  自然な立体感とフィット感を作り出します。

  良いとこ取りをすることでシャープかつ、可動部はハンドメイドで曲線線的でフィット感がありながらイセが

  ストレスなく着用できるよう、バランスに優れた仕上がりにしています。

  一般的に仮縫いをすることが多いのですが、Corvoはヌード採寸後ゲージ服にて補正するので仮縫い工程を削減。

  また、癖を見やすくしたり完成をイメージしやすくなるという点があります。

 

④フルハンドメイド

  フルオーダーの縫う工程をすべて手縫いにしたパターンで、柔らかい生地の風合いを生かす作りとなっています。

  具体的には、ハ刺し、ボタンホール、パンツ、ステッチも手縫いとなります。

  ハ刺しとは芯地と生地を糸で留めることで、これを「芯据え」とも言います。

  ジャケット一着に2000針も縫い込むという非常に手間のかかる作業です。

  ハンドで「芯据え」を行うメリットとは、手縫いによる適度な「ゆとり」により自然のラペル返りとなることです。

  しかし、手縫いは縫いが甘い分、機械縫いに比べ耐久性に劣り、直線部もがたついてしまうデメリットがあります。

  曲線的でハンドメイド感を味わえる暖かい印象のスーツを作りたい場合にお勧めです。

 

スキャバルの生地のご紹介

スキャバルは、スーツ好きなら口をそろえて「名門」と言う生地ブランドでして、ベルギーを本社としながら、英国にある多数の生地織元を傘下に置く毛織商社です。

 

質実剛健な英国生地には対照的とも思える、華やかで革新的なテキスタイルデザインが特徴です。

 

せっかく作るスーツを長く着たい。と、英国生地を選ばれる方は多くいらっしゃいます。

 

現在の織り方では、英国もイタリアもほとんど生地の違いはないといっても、やはり昔ながら英国生地に勝るものはないというイメージが強く残っています。

 

昔は、英国生地は経緯糸を双糸で、イタリア生地は経糸を双糸、緯糸を単糸で織り上げていました。

 

双糸だけで織り上げたものは重厚感のあるハリが出るのですが、これが英国生地はシワに強く、重く、堅いというイメージになっていったのです。

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コルヴォでは今季より、スキャバルの取り扱いを開始いたしました。

 

そしてこの【トルネード】というシリーズは先述した昔ながらの技法で織り上げられています。

 

目付も320gというヘビーウェイトで仕立て映えすること間違いありません。

 

実用性と目を引くデザインとを兼ね備え、生地の世界に新しい風を吹きこむスキャバルの製品を見ていると、心まで華やぐようです。

 

「スキャバル トルネード」

パソナルオーダー価格 ¥118000

フルオーダー価格 ¥148000

シャツ素材について

ジャケットが手放せない季節となり、スーツの需要も増えてまいりました。

しかし、ビジネスマンにとって一番欠かせないアイテムとはシャツではないかと思っています。

シャツは、普段からスーツを着る人は何着も持ち、そうでなくとも一着は持つ、クールビズの時期は一番の顔となる、通年の必需品です。

より肌に近く、毎日着るシャツを選ぶ際には、デザイン・着心地だけでなくお手入れ方法も重要なポイントとなっています。

しかし、シャツ素材である綿とポリエステルは一長一短で「どの割合がいいの?」というお声もちらほら。。

そこで大まかに3つの割合から、選ぶポイントを挙げたいと思います。

 

シャツといえば綿100%が一番いいものとされています。

良いスーツに合うのも綿100%のシャツですから、オーダースーツ屋としてもおすすめしたいのですが

これは「着心地がいいが、毎日着るには大変」なのです。

綿は、光沢があり高級感のある見た目。柔らかく吸湿性、通気性、保温性に優れ肌に優しく着心地がよい。

劣化しにくく熱に強い。毛玉もできにくい為長く着られるのがメリットですが。

シワになりやすくアイロン、又はクリーニングに出す手間があること。

縮みやすいこと(1~2cm程)、日焼けで黄ばみやすい、そして高価である、というのがデメリットです。

ここぞという時のシャツや、毎回手入れができる余裕のある方向けとなります。

昨今では綿100%の形態安定加工が施されたシャツもありますが、ポリエステルに比べると防シワは完全とは言えません。

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ポリエステルは綿とは全く逆で「着心地は(綿に比べると)劣るが、手入れがしやすい」面がありますが

その分汚れや臭いがつきやすい、毛玉ができやすいというデメリットもあるため、なかなか長い着用はできないでしょう。

ポリエステル100%のシャツは、お手入れが簡単な方がよく、流行ごとにデザインを変えたい方に向いているといえます。

熱に弱い部分もあるので、アイロンはかけても軽く、というのが忙しい現代人に嬉しいですね。

 

そこでいいとこ取りをしている、綿50%ポリエステル50%シャツの登場です。

それぞれ100%のものと比べると最大のパフォーマンスをしてくれるわけではないのですが

一番人気はこの割合でしょう。

綿100%より手入れしやすく、ポリエステル100%より着心地よく、比較的安価なものが多いので

オーダーシャツ最初の一枚に最適ではないでしょうか。

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ちなみに、生地の織り方によって割合が決まっていたり、デメリット部分を軽減する織り方もあったりします。

また次の機会に。。

K様 お仕立て

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K様お仕立ての3Pスーツです。

生地はスキャバル社より仕入れたアーサーハリソンで制作しました。

幅広のストライプは派手な印象にもなりがちですが、自然な印象でよくお似合いです。

ベストをダブルにしたことで、より英国紳士らしさが出ています。

裏地は黒無地でシンプルに。

洗練された魅力が溢れる一着となりました。

次のイメージもして頂いているようで、私も楽しみです。

またのご来店をお待ちしております。

秋の声

先日、行きつけのバーで梨を頂きました。

シャリシャリとした歯ごたえと、口の中いっぱいに広がる甘い果汁のあの感覚が大好きで

子供の頃は、リンゴは剥かないのに梨だけは自分で剥いて食べてしまうというほど夢中でした。

そんな思い出話に少し辛めの白ワインがついつい進んでしまいます。

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そして金木犀も先ごろを迎えていますね。

今年は残念ながらまだ出会えていないのですが

どこからか匂いがすると懐かしいような、淋しいような、切ない気持ちに浮足立ち、

そしてまた酒場に足が向いてしまう。というのは言い訳でしょうか。。

 

さて、今は秋。夏の鮮やかな景色から無彩色に変化していく季節には

イギリス生地のような渋い色が似あうのではないでしょうか。

Corvoでは近々コートフェアも開催する予定です。

哀愁の季節に、新しいスーツと温かいコートをおともにするのもいいですね。

コート用の生地のご紹介【ウール生地】と【ツイード生地】

さて、前回はコート用生地の高級ライン、カシミヤとキャメルについてご紹介しました。

 

今回はもう少しお手頃な素材についてお話いたします。

 

ウールはお値段だけでなく、お若い方、ファッション性を重視される方にはお勧めの素材です。

 

カシミヤは高価である故に、一生物として使うには無難な生地が良いからと、結果的に単調な柄になってしまう事が多くなります。

 

300g以上のフランネル生地ならばコート生地として問題なく使用できるため、一気に色、柄のバリエーションが広がります。

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屋外では快適なカシミヤコートは地下鉄、屋内などでは保温性がありすぎて暑いです。

 

出先、通勤用としてはウールコートの方が実用性があるのです。

 

一般的な既製品では黒、紺かグレーの無地のコートばかりの中、色柄のあるコートは重くなりがちな冬のスーツスタイルに華を添えます。

 

チェックのチェスターコートなんていかがでしょうか?

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また、ジャケット生地もコートに最適です。

 

スーツ生地とジャケット生地の違いとは柄だけでなく、生地の甘さにあります。

 

というのもジャケット生地はスーツ生地ほどに糸を詰めて織りません。

 

なので同じ重さのものでも肉厚に感じるようになります。

 

スーツ地は一番動きのあるパンツにした際に、摩耗に強くなくてはなりません。ですので糸を詰めて織るのです。

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特にツイード生地のコートは防寒性抜群です。

 

ツイードには着て馴染ませるという醍醐味があります。

 

以前、50代のお客様が「このツイードのコート、学生時代に買ったんだよね」とおっしゃられました。

 

生地が経年の変化で柔らかく馴染んでいたのが印象的でした。

 

昨今の生地は細く、しなやかな糸で織られ、艶っぽいものが多い中、こうしたツイード生地は野趣的で長く着ることで味を増すという違った趣が楽しめます。

 

そろそろ紅葉の時期も近づいてくる頃です。

 

お気に入りのコートで紅葉狩りなどはいかがでしょうか。

コート用の生地のご紹介【カシミヤ】と【キャメル】

実は私、生地紹介はあまり得意ではありません。

 

というのも、ちょっと調べれば他店のホームページやブログのマニアックな記事がいくらでも出てくるのでなんとなく避けていました。

 

9/23、秋分の日も過ぎコートについて調べていると、案外コート生地の紹介がない事に気づきました。

 

そんな訳で今回は、コートに適した生地についてご紹介させていただきます。

 

コート生地の繊維は大きく獣毛系(カシミヤ、キャメル、ウールなど)、コットン、化学繊維の3種類に分けられます。

 

中でも高級素材といわれる獣毛系のカシミヤ・キャメルに焦点を当ててみましょう。

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いきなりですが、最上級のコート用の繊維はビキューナだと言われます。

 

しかしビキューナはお値段も数百万という代物で、なかなか現実的な品ではありません。

 

(コルヴォでは取り扱い例もあります。ご希望がございましたらお申し付けください。)

 

カシミヤで作られたものは一般的に最高級生地として扱われており、「繊維の宝石」とも言われスーツ生地に使われるウールよりも細い繊維です。

 

スーパー180のウールより細いといえば、その細さが伝わるでしょうか。

 

カシミヤを使った生地は特有のしっとりとしたタッチとなり、これを「ぬめり」と形容しますが、うっとりするような肌触りは、その繊維の細さに由来しています。

 

また、カシミヤ山羊一匹からとれる量も200g程度とごくわずかで、例えばロロ・ピアーナのカシミヤ生地の中で一番のヘビーウェイトである1㎡あたり560gの生地を3m使用した場合、その製品には13頭分近くも必要になる計算です。

 

さらに実際は選別で使えない繊維は廃棄されるのですから、これ以上の頭数の繊維が必要となるわけです。

 

元々希少なもののさらに良いものだけで作られるカシミヤ生地は、重さと値段が比例するといわれるぐらい、繊維の使用量で価値が決まるのです。

 

カシミヤ山羊は寒暖の厳しいモンゴルの高原に住んでいるので、軽いだけでなく保温性も抜群です。

 

実用性も兼ね備えているカシミヤは、ひと昔前には「一生もののコート」としてこぞって買われたものです。

 

そして、カシミヤと似た特性を持つ繊維としてキャメルヘアーがあります。

 

キャメルヘアーとは文字通りラクダの毛のことで、ラクダもカシミヤと同じように寒暖の差が激しい砂漠で体温を保持するために保温性に優れています。

 

特に生まれて一回目の刈り取った繊維を「ベビーキャメル」と称します。

 

人間でも赤ちゃんの毛の方が柔らかいように、これも特に細い繊維ですから、生地の「ぬめり」はカシミヤに匹敵するほどです。

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キャメルはカシミヤほど知名度がないからかあまり高価ではないのと、フェルト感が長持ちするのが魅力です。

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